「歯周病の治療が終わったから、もう安心」と思っていませんか?
歯周病は、一度治療を受けて症状が改善したあとも、再発のリスクがある病気です。
そのため、再発を予防するためには、「治療後の過ごし方」、つまりメンテナンスが非常に大切なのです。
今回は、歯周病治療後に長く安定したお口の状態を保つための「プラークコントロール」について詳しくお話しします。
歯周病は、プラーク(歯垢)に含まれる細菌によって引き起こされる感染症です。
治療によって炎症が改善し、歯ぐきの状態が安定したとしても、歯周病菌が完全に消えるわけではありません。
お口の中には常にさまざまな細菌が存在しており、日々の生活の中で再び増殖する可能性があります。
特に、歯と歯ぐきの境目やすき間には細菌が残りやすく、環境が整えば再び炎症が起こるリスクがあります。
そのため歯周病は、「治療すれば終わり」という病気ではなく、長期的にコントロールしていく必要がある慢性的な疾患なのです。
プラークコントロールとは、歯の表面に付着する細菌のかたまりである「歯垢(プラーク)」を取り除き、再び付着しにくい口腔環境を整えて維持することをいいます。
一般的には歯磨きやうがいによる清掃を意味しますが、それに加えて、歯垢(プラーク)がたまりにくい状態をつくることも含まれます。
お口の中の細菌は、完全に取り除いたつもりでもわずかに残ると短時間で再び増殖する恐れがあり、日常的かつ継続的なケアが欠かせません。
歯垢(プラーク)は、食後数時間で形成されます。
プラーク1mgの中に存在している細菌の数は、10億個以上といわれています。
参考:厚生労働省「歯垢(プラーク)」より
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/teeth/yh-031
歯垢(プラーク)はむし歯や歯周病の原因となるだけでなく、誤嚥(ごえん)性肺炎や生活習慣病の悪化にも関係します。
全身の健康を維持するうえでもプラークコントロールは重要な役割を担っています。
プラーク(歯垢)は、歯周病や虫歯の原因となるため、お口の健康を守るためにはしっかりと除去することが必要です。
しかし、プラークは歯とよく似た色をしているため、少量であれば見逃してしまうことも少なくありません。
気づきにくい上に、「毎日歯を磨いているから大丈夫」とお考えの方も多くいらっしゃいます。
たしかに、年齢やお口の状態にかかわらず、すべての方にとって、毎日の歯磨きが「基本」であり、「重要なケア」です。
けれども、「歯磨きをしている」ことと「しっかり磨けている」ことは同じではありません。
磨き残しがあると、細菌の温床となってしまいます。
特に、「歯と歯の間」や「歯並びが重なっている部分」、「奥歯の裏側」などの磨き残しには注意が必要です。
まずは、食べカスが残らないように、しっかりと歯を磨きましょう。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどを使うことで、より効果的に汚れを除去することができます。
特に、歯と歯の間の汚れは歯ブラシ1本だけの歯磨きでは、6割ほどしか落とせないことがわかっています。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、汚れの除去率を高めることができますので、積極的に取り入れるようにしましょう。
参考:神奈川県「今日から始めるすき間ケア」より
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/37565/sukimacare_new.pdf
また、力を入れてゴシゴシ磨くのではなく、適切なブラッシングの方法を身につけることも大切です。
歯科医院でブラッシング指導を受けることで、歯磨きの精度を高めることができます。
くわえて、生活習慣の見直しが必要な場合もあります。
歯周病は、生活習慣とも関わりが深く、喫煙や不規則な生活は歯周病の発生リスクを高めます。
喫煙は歯ぐきの血流を悪化させ、免疫機能を低下させるため、歯周病を悪化させる大きな要因です。
また、ストレスの蓄積や睡眠不足、栄養バランスの偏りも、免疫機能を低下させる恐れがあり、歯周病の発生や進行に影響を与えます。
お口のケアに加えて、こうした生活習慣を見直すことも、歯周病の再発予防には欠かせません。
ご家庭でのケアと併用して、歯科医院でのケアも必要です。
歯科医院では、普段の歯磨きでは落としきれない歯石やバイオフィルムを専門的に除去します。
また、歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さ、出血の有無などをチェックし、異常の早期発見にもつなげます。
歯周病の症状が悪化する前に対処することで、大がかりな治療を避けることが可能です。
治療の負担を軽減できるだけでなく、歯を長く守ることにつながります。
歯科医院でのメンテナンスの頻度は、お口の状態や歯周病の進行度によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月に一度が目安です。
歯周病のリスクが高い方や、過去に重度の歯周病を経験されている方は、より短い間隔での通院をご提案することもあります。
歯周病は再発しやすい病気です。
歯周ポケットとよばれる歯と歯ぐきのすき間は、構造的に汚れがたまりやすく、セルフケアだけでは完全に清潔を保つことが難しい場所です。
また、歯並びやかみ合わせ、被せ物の形状などによっても磨き残しが起こりやすくなります。
さらに、加齢や生活習慣、全身の健康状態によっても、歯周病のリスクは変化します。
また、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。
そのため、「気づいたときには進行していた」というケースが多い病気です。
しかし、早い段階で発見できれば、歯ぐきの炎症を抑える処置で改善が期待でき、通院回数や治療期間の負担も軽くすむことが多くなります。
進行してしまうと、歯石除去に加えて外科的な処置が必要になる場合もあり、治療の負担が大きくなります。
定期的に歯科医院でチェックを受けていれば、わずかな歯ぐきの変化や炎症のサインにも早く気づくことができ、重症化を防ぐことが可能です。
「痛みや違和感が出てから受診する」のではなく、問題がない状態を維持するために通うという考え方は歯周病に限らず、お口全体の健康を守る上でも大切です。
人生100年時代となり、できるだけ長く自分の歯で食事を楽しむためには、日頃からのケアが重要です。
歯周病によって歯を失ってしまうと、かみ合わせや食事、さらには全身の健康にも影響が及びます。
治療後のメンテナンスをしっかり行うことで、再発のリスクを減らし、将来の健康につなげることができます。
歯周病は再発しやすい病気だからこそ、治療後は日々のセルフケアを丁寧に行いつつ、定期的にメンテナンスに通うことが大切です。
当院では、患者様お一人おひとりのお口の状態に合わせたメンテナンスをご提案し、長く健康な状態を維持できるようにサポートいたします。
プラークコントロールは一時的にがんばるものではなく、日々の積み重ねによって効果があらわれるものです。
特別なことや難しい事ではなく、ご自身にあった方法を継続することで、健康な状態を維持することができます。
当院は、歯周病治療に力を入れています。
軽度から中等度の歯周病はもちろん、重症化した場合には歯周外科治療にも対応しており、進行した症例にも適切に対応可能です。
必要に応じて内服治療を併用することで、より効果的な治療をめざします。
歯ぐきの違和感や出血など、気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
