メディアなどでも多く取り上げられていることから、歯周病という病名を聞いたことがある方は多くいらっしゃるでしょう。
けれども、具体的に、「どのような症状があるときに歯周病を発症しているのか」や「どこまで進行しているか」についてはわからないという方も多いようです。
歯周病は重症化すると、歯を失う恐れがあります。
手遅れにならないように、歯周病の進行段階ごとの症状についてお話しします。
目次
歯周病は段階的に進行する病気です。
歯周病のステージを4つにわけて、それぞれの特徴的な症状をご紹介します。
歯肉炎とは、歯ぐきのみが炎症を起こしている状態です。
この時期の代表的な症状は、
などです。
炎症の範囲が歯ぐきにとどまっていて、歯を支えている骨には影響が出ていません。
痛みや自覚症状を感じることはほとんどなく、症状に気付いていない方も多くいらっしゃいます。
歯ぐきの炎症が進行し、歯を支えている骨にも炎症が広がっている状態です。
この段階になると、
といった症状がみられます。
この段階になると、違和感に気が付くこともありますが、受診するタイミングをうかがっているといった方も多いでしょう。
歯周病が進むと、歯ぐきと歯のすき間「歯周ポケット」内で細菌が増殖し、その代謝物が強いにおいを放つようになります。
口臭はご自身では気付きにくい上に、コミュニケーションに支障をきたすこともあります。
歯周病が原因の口臭は、歯磨きやうがいだけでは根本的には解決できません。
原因となっている歯垢(プラーク)を取り除くことで、口臭が改善されて、歯ぐきも健康な状態になります。
歯を支えている骨が溶かされていき、
といった症状があらわれます。
歯と歯ぐきのすき間である「歯周ポケット」が深くなり、鏡を見たときにご自身でも異常に気が付くようになります。
膿は血液成分や細菌、炎症性物質が混ざりあったもので、歯ぐきに膿がたまるのは、歯周ポケットの奥で炎症が進んでいるからです。
膿が出始めるとお口の中がネバネバするようになり、口臭はさらにきつくなります。
ここまで進行すると、歯磨きなどのセルフケアだけでは症状の改善が難しく、歯科医院での治療が必要です。
症状によっては、歯周外科処置が必要になる場合もあります。
重度歯周病になると、歯を支えている骨が溶かされて、
といった症状があらわれます。
歯ぐきの炎症とともに、歯を支えている骨が溶けると歯ぐきが下がって、歯が長くなったように感じます。
歯の根元が露出することで、細菌が入り込みやすくなり歯周ポケットがさらに深くなり、症状が悪化する一方です。
また、骨が溶かされることで、歯が動きやすくなり、歯並びやかみ合わせが乱れることがあります。
症状が見た目にもわかるようになると、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。
この段階まで進行すると、歯周病の原因であるプラークを徹底的に取り除く「歯周基本治療」では症状の改善は難しく、歯周外科治療や歯周組織再生療法が必要です。
場合によっては、抜歯が必要となることもありますので、できるだけ早い段階で歯科を受診することが大切です。
歯周病は、「サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)」とよばれることがあります。
なぜなら、初期から中等度に至るまで、痛みやはっきりした症状が出ないケースが多いからです。
歯ぐきの腫れや歯磨き時の出血があっても、日常生活に支障をきたすことがなければ、「受診するほどでは」と感じてしまう方も少なくありません。
口臭があっても、一時的なものと感じたり、相談しにくいと感じたりすることもあるでしょう。
このような理由で、歯周病は気付かないうちに少しずつ進行し、明らかな症状が出るころには、かなり進行してしまっていることがあるのです。
歯周病の発見が遅れると、お口そして全身に、次のような影響があらわれます。
歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶かされて、歯と歯ぐきとの接着している部分が壊されて、歯がグラグラするようになります。
そのままにしていると、最終的に歯を失ってしまうことになりかねません。
重度まで進行すると、治療を行っても、骨や歯ぐきの回復が難しくなります。
また、かみ合わせのバランスが崩れると、ほかの歯や顎関節に負担がかかることになり、健康な歯にダメージを与えてしまうことにもなるのです。
歯周病が重症化して、歯ぐきが下がると、口元の印象が変わってしまうことがあります。
また、口臭が強くなると、コミュニケーションにも影響が出るでしょう。
見た目やにおいが気になって消極的になることがないように、自信の持てる口元をめざしましょう。
歯周病が重症化すると、歯周病の原因菌が血液を通じて全身を巡ります。
脳や心臓などの器官に影響をおよぼし、認知症や心筋梗塞などの心疾患の発生の原因となることもあります。
また、糖尿病や動脈硬化などの疾患を持つ方は、歯周病が重症化することで、症状が悪化してしまうこともあるため、注意が必要です。
歯周病は初期症状がほとんどないため、発見が遅れて手遅れになりがちです。
適切なケアの実践と、歯周病の早期発見・早期治療で、お口と全身の健康を維持しましょう。
歯周病のないお口を作るためには、毎日の歯磨きを見直すことが大切です。
自己流の磨き方では、しっかりと汚れを落とすことができず、歯周病のリスクを高めている可能性があります。
歯と歯ぐきの境目に適切な角度でブラシを当てることで、プラークを効率的に除去することが可能です。
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを活用しましょう。
また、生活習慣にも注意が必要です。
喫煙や偏った食生活を続けていると、歯周病が悪化する恐れがあります。
糖分の摂りすぎに気を付けて、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
定期的に歯科医院を受診して、お口の健康状態をチェックしましょう。
歯周病は、自覚症状がないまま進行するケースが多くみられます。
気になる症状がない場合も、何らかの異常が起きている可能性はゼロではありません。
定期検診では、お口の中をすみずみまでチェックした上で、お口の状態に合わせたクリーニングをご提案します。
ご家庭での歯磨きだけでは取り除けない汚れも、歯科のクリーニングであれば、取り除くことが可能です。
歯周病は、初期段階でははっきりとわかるような症状はほとんどありません。
けれども、歯ぐきからの出血や軽い腫れ、口臭の増加、歯が浮いたような感覚などは、歯周病のサインである可能性が考えられます。
これらのサインを見逃すと、歯周病が重症化する可能性が高まります。
歯磨きの時の出血の量や歯ぐきの色、腫れ具合などを日常的にチェックし、少しでも異変を感じたら早めに歯科を受診しましょう。
当院では、歯周病治療・歯周病予防に力を入れています。
歯周病治療後は、歯科医院で専用の器具を使って歯垢(プラーク)を除去する「PMTC」で健康な状態を維持するお手伝いを行っています。
歯周病から大切な歯を守るために、まずはお口のチェックにお越しください。