歯周病になっている方はインプラント治療ができないという話を聞いたことがありますか?
インプラント治療は、失った歯を補う治療の一つです。
天然の歯のような噛み心地でしっかりと噛めることから、インプラント治療を希望される方が増えています。
けれども、インプラント治療を行うためには、いくつかの条件があり、お口や全身の健康状態によっては、治療を行えない場合があります。
歯周病もその一つで、進行した歯周病を抱えたままインプラント治療を行うことには、さまざまなリスクを伴うため、おすすめすることができないのです。
しかしながら、歯周病治療を行えばインプラント治療を行える可能性があります。
ここでは、歯周病とインプラント治療についてお話しします。
目次
歯周病の症状がある場合、治療を優先して行い、お口の中が健康な状態になればインプラント治療を行える可能性があります。
とはいえ、歯周病は完治が難しい病気とされています。
なぜなら、お口のケアだけでなく、生活習慣や全身疾患とも関係があるからです。
治療が終わっても、再発しないために予防に努めましょう。
歯周病治療の基本は、原因となるプラーク(歯垢)の除去です。
歯周病の症状が改善されて、歯周ポケットの深さが3mm程度になり、歯ぐきの状態が健康であればインプラント治療を行える可能性が高まります。
最終的には、歯科用CTで顎の骨の状態を確認した上で、インプラント治療ができるかどうかを判断します。
歯周病がある状態でインプラント治療を行うと、インプラント治療が失敗するだけでなく、成功したとしても、インプラントの寿命を縮めてしまう可能性があります。
歯周病の治療が不十分な状態で、インプラント治療を行うと次のようなリスクがあります。
歯周病は歯周病菌によって歯周組織に炎症が起こる病気です。
初期の段階では、炎症によって歯ぐきが腫れたり、歯ぐきから出血したりします。
歯周病が進行すると、歯を支えている骨が溶かされて、最終的に歯を失います。
この段階では、骨の大部分が溶かされてしまっている状態です。
インプラント治療では、失った歯の部分の顎の骨にインプラント体を埋めて、その上部に人工歯を取り付けます。
インプラント体は顎の骨と結合して一体化することで、しっかりと安定します。
そのため、骨の量が少ない場合や、十分な厚さがない場合はインプラントが安定しないのです。
歯周病は細菌による感染症です。
歯周病が進行している状態では、お口の中には多数の歯周病菌が存在しています。
インプラント治療では、外科手術によって、歯ぐきを開いてインプラント体を埋めます。
手術後に傷口に細菌が入ると、その部分が炎症を起こして、膿がたまることがあるのです。
傷口が化膿すると、炎症が悪化して、腫れや痛みなどの症状があらわれるだけでなく、顎の骨とインプラント体の結合にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
歯周病の状態でインプラント治療を行うと、歯周病でない人とくらべて、インプラント周囲炎になる可能性が高くなります。
インプラント周囲炎は、治療したインプラントの周囲が歯周病菌に感染することで発症し、歯周病と同じような症状があらわれます。
インプラント周囲炎が重症化すると、顎の骨が溶かされて、インプラントが不安定な状態になり、最悪の場合脱落することもあるのです。
さらに、インプラントには、天然の歯の周りにある「歯根膜」がありません。
そのため、天然の歯よりも炎症への抵抗力が低く、インプラント周囲炎にかかると、急速に進行するのです。
センサーとなる歯根膜がないため、症状に気付きにくく、気が付いたときには重症化しているケースも少なくありません。
インプラント周囲炎の原因となる歯周病菌がお口の中に多くある状態で、インプラント治療を行うのは非常にリスクが高いのです。
歯周病治療が終わって無事にインプラント治療を行えたとしても、歯周病が再発しないとは限りませんので、継続して歯周病予防に取り組みましょう。
もちろん、歯周病でない方も、インプラント周囲炎になる可能性はありますので、インプラント治療を行った方は皆様、適切なメンテナンスを継続させることが大切です。
セルフケアとは、患者様ご自身で毎日行っていただくケアです。
歯周病やインプラント周囲炎の原因となるプラークは、毎日生成されています。
プラークは数日で石のように硬い歯石へと変化します。
歯石となると、歯磨きでは落とすことができませんので、早い段階でしっかりと落とすことが重要です。
自己流の磨き方では、効果的にプラークを落とせていない可能性があります。
歯科医院のアドバイスを参考に、ご自身の歯に合う磨き方を身につけましょう。
また、歯ブラシ1本だけでは落とせる汚れに限度がありますので、歯間ブラシやデンタルフロスを活用するのがおすすめです。
当院では、歯の磨き方はもちろん、歯ブラシなどのデンタルケア製品の選び方のアドバイスも行っていますので、どのようなことでもご質問ください。
歯間ブラシやデンタルフロスを併用しても、それでも取り切れない汚れはあります。
そういった汚れは、歯科のクリーニングで取り除くことが可能です。
インプラント治療後の定期検診では、
を行います。
インプラント周囲の清掃状況やインプラントのぐらつきだけでなく、お口全体を確認し、必要に応じたクリーニングを行いお口の中をキレイな状態にします。
インプラント周囲炎は初期の段階では自覚症状がほとんどないため、発見が遅れがちです。
早期に発見すれば、治療も軽度ですみますので、気になる症状がなくても、定期検診を受けることが大切です。
定期検診の間隔は、お一人お一人のお口の状態によって異なります。
長く安定してインプラントをお使いいただくためにも、忘れずに検診にお越しください。
歯周病は日本では国民病とよばれるほど、多くの方が抱えている疾患の一つです。
2022年(令和4年)の歯科疾患実態調査によると、45代以上の方の4割以上が、4mm以上の歯周ポケットを有していることがわかっています。
参考:厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査 結果の概要」表20より
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001112405.pdf
歯周ポケットが4㎜以上ある状態では、インプラント治療ができない可能性があります。
けれども、徹底した歯周病治療を行った後であれば、治療が可能になるケースもありますので、まずは当院にご相談ください。
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