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歯周病は、日本人の多くがかかっている病気で、年齢や性別に関係なく、誰にでも発症する恐れがあります。

けれども、「まだまだ自分には関係ない」「痛みがないから大丈夫」と、歯周病の症状が出ていても、気づかないままに過ごしている方も少なくありません。

なぜ歯周病は、気づきにくい病気なのでしょうか。

今回は、歯周病が静かに進行する理由についてお話しします。

歯周病は初期の段階では自覚症状がほとんどない

歯周病の症状に気づきにくい理由は、初期段階ではほとんど自覚症状がないからです。

歯周病は、歯の周りに付着した歯垢(プラーク)中の細菌が原因で、歯ぐきや顎の骨などの歯周組織に炎症を起こす病気です。

初期の歯周病(歯肉炎)の段階では、

といった変化が起こりますが、強い痛みを感じることはほとんどありません。

そのため、「一時的なものだろう」「疲れているだけかもしれない」と見過ごされてしまうことが多くあるのです。

なぜ歯周病では痛みが出にくいのか

初期の歯周病では、痛みを感じることはほとんどありません。

虫歯の場合は、歯の外側から内側にかけて徐々に進行し、神経に近づくにつれて痛みを感じるようになります。

歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起こる「歯周病」では、虫歯のように痛みを感じる神経を刺激することがないため、痛みを感じにくいのです。

しかも、歯周病のほとんどが、ゆっくりと進行するという特徴があるため、お口の中の変化に気がつきにくく、発見が遅れてしまうというケースが多くみられます。

歯周病が原因の痛みを感じるときには、多くは中等度〜重度まで進行している状態です。

この段階では、痛み以外にも、

といった症状があらわれることもあります。

ここまで進行すると、歯を支える骨が大きく失われている可能性があり、治療も複雑になるため、痛みが出る前に早期発見・早期治療を行うことが大切です。

歯周病のサインを見逃しやすい

歯周病の代表的なサインとして、

などがよく知られています。

けれども、実際にこのような症状があっても、「歯を強く磨きすぎたから出血した」「口が臭うのは寝起きだから」といった理由で、日常によくあることだと受け止めてしまい、歯周病と結びつけられないケースが少なくないのです。

また、歯周病が進行すると、歯を支えている顎の骨が吸収され、結果として歯ぐきが下がって見えるようになります。

年齢的な変化である可能性もありますが、歯周病が原因で歯ぐきや骨が下がっているケースも少なくありません。

ただし、歯ぐきの変化もゆっくり進むため、「歯が長くなった気がするけれど気のせいかな」という程度で済まされてしまうこともあるのです。

歯周病は「自分では見えないところ」で進行する

歯周病は、歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)という見えにくい場所で進行します。

歯周ポケットの深さや内部の状態は、ご自身では確認することは困難です。

歯科医院で行う歯周ポケットの深さを測る「歯周ポケット検査」や顎の骨の状態を確認する「レントゲン検査」を行うことで、「思っていた以上に進んでいた」と驚かれる方も少なくありません。

見えにくいからこそ定期検診が重要

歯周病は見えにくく気づきにくい病気だからこそ、定期的な歯科検診が重要です。

検診では、

などをチェックすることができます。

自覚症状がない段階で早期に発見できれば、比較的負担の少ない治療で進行を抑えることが可能です。

「痛くないから大丈夫」という考え方には要注意

歯周病は痛みがないまま進行するケースがほとんどですので、「痛くないから大丈夫」という考え方はやめましょう。

歯周病が重症化すると、歯を失う恐れがあります。

実際に、歯を失う原因の第1位の病気が、「歯周病」です。

また、歯周病はお口の中だけでなく、全身の健康状態とも深く関係があります。

治療のスタートが遅れるほど選択肢が限られたり、治療に時間がかかったりする可能性が高いという点からも、早期発見・早期治療につながる定期検診を欠かさないようにしましょう。

症状がない今こそ始めたい歯周病予防

歯周病は、「症状が出てから治療する」のではなく、「症状が出る前から予防する」ことが大切な病気です。

初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、「今は特に困っていない」「痛みも腫れもない」という理由で、予防の必要性を感じないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

けれども、歯周病は静かに進行し、気づいたときには歯を支える骨が大きく失われているケースも少なくありません。

だからこそ、症状が出ていない段階から予防に取り組むことが、将来ご自身の歯を守ることにつながります。

毎日のセルフケアに歯間ケアを取り入れましょう

歯周病予防の基本は、毎日の歯磨きです。

丁寧に磨いているつもりでも、歯ブラシだけではすべての汚れを取り除くことは困難です。

特に、歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは6割ほどしか除去することができません。

歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、汚れの除去率が高まります。

参考:神奈川県「今日から始めるすき間ケア」より
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/37565/sukimacare_new.pdf

また、歯周ポケットの奥深くの汚れや、歯の表面にこびりついた歯石を除去することは、ご自身のケアだけでは難しいのが現実です。

特に、歯石は一度付着すると歯ブラシでは取り除けず、細菌の温床となって歯周病を進行させる原因になります。

「毎日歯を磨いているのに歯周病を発症した」という方が少なくないのは、このためです。

プロによるクリーニング(PMTC)で予防効果を高めましょう

歯科医院で行うPMTCは、歯科衛生士が専用の器具を用いて、歯磨きでは落としきれない汚れや歯石、バイオフィルムを徹底的に除去するケアです。

定期的にPMTCを受けることで、歯周病の原因菌が増殖しにくい環境を維持しやすくなります。

また、クリーニング後は歯の表面がなめらかになるため、汚れが再付着しにくくなるというメリットもあります。

PMTCは、歯周病予防に有効な手段のひとつです。

歯周内服治療という新しい予防の選択肢

当院では、歯周病の原因菌に着目し、内服薬を用いてお口の中の細菌バランスを整える「歯周内服治療」を取り入れています。

これは、歯周病菌の種類や量を検査したうえで、必要に応じて薬を使用し、歯周病が進行しにくい状態を目指す治療法です。

「何度も歯周病をくり返してしまう」「改善しにくい」といった方にとって、有効な選択肢となる場合があります。

歯周病が気になる方は早めの相談を

歯周病は、誰にでもなる可能性があります。

2024年に行われた厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、4mm以上の歯周ポケットを有する方の割合は、15歳以上で約44%でした。

歯周ポケットが4mm以上というと、歯周病が進行した状態です。

年齢とともに増加傾向にあり、55歳以上では56%を超えています。

参考:厚生労働省「令和6年 歯科疾患実態調査 結果の概要」表19、20より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-17b_r06.pdf

「最近歯ぐきが下がってきた気がする」「出血はあるけど痛くない」「しばらく歯医者に行っていない」という方は、歯周病が静かに進行している可能性があります。

自覚できるほどの症状が出てからではなく、症状がないうちにチェックを受けることが、歯を守る第一歩です。

歯周病が気になる方も、これまであまり意識してこなかった方も、まずは当院でお口のチェックを受けてみませんか。


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