歯を磨く際に、歯ぐきのチェックをしていますか?
歯ぐきを見れば、歯周病が進行しているかどうかがある程度はわかります。
歯ぐきが腫れていると、歯周病の可能性があるため、できるだけ早く治療を始める必要があります。
目次
健康な歯ぐきには、次のような特徴があります。
スティップリングとは、歯ぐきの表面のブツブツのくぼみです。
歯ぐきの中のコラーゲン繊維が発達して、歯を支えている骨を引っ張ることで、スティプリングがあらわれます。
スティップリングがある、つまりみかんの皮のような状態であれば健康な歯ぐきとされています。
では、反対に歯ぐきがどのような状態になっていると危険なのでしょうか。
歯ぐきが紫がかった赤色や黒ずんだ赤色をしている場合は、注意が必要です。
喫煙をしている方や、銀歯の金属が原因で歯ぐきが黒ずむことはありますので、色だけで判断するのは難しいのですが、腫れている場合は歯周病の可能性が高いでしょう。
また、腫れている部分が複数あったり、範囲が広いときは、すでにある程度歯周病が進行している恐れがあります。
歯周病とは、プラーク(歯垢)の中の細菌によって歯周組織に炎症を起こし、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かす病気です。
歯を支えている骨が溶けることで、歯ぐきが下がったり痩せたりします。
歯ブラシやフロスが当たったときに出血するのは、歯ぐきが腫れている、つまり歯周組織に炎症が起きているからです。
出血だけでなく膿まで出ている場合は、重度の歯周病といえます。
じつは、歯ぐきにこのような症状が出ていても、痛みを感じないケースがほとんどです。
そのため、一時的なものかなとそのままにしている方も多く、その間に症状はどんどん進行します。
歯周病が進行すると、最終的には歯を支えている骨が溶かされて歯が抜け落ちます。
早期発見ですぐに治療を始めることで、進行を止めることができますので、気になる症状があればできるだけ早くご相談ください。
歯周病は段階的に進行します。
それに伴い、歯ぐきは次のように変化します。
歯周病の初期段階で、歯ぐきだけに炎症があらわれている状態です。
歯ぐきは炎症を起こしていて、赤く腫れています。
歯磨きの際に出血することもあります。
歯ぐきが炎症することで、粘膜が敏感になっていて、ヒリヒリとした痛みを感じることもありますが、この時点で異常に気付く方はほとんどいらっしゃらないでしょう。
歯ぐきが腫れた状態が続き、歯ぐきと歯との溝「歯周ポケット」が深くなっています。
歯を支えている骨も徐々に溶かされ始めていて、歯ぐきが下がったように感じる方もいらっしゃいます。
歯肉炎のときよりも出血しやすい状態です。
歯周病がさらに進み、骨が半分程度破壊されている状態です。
歯周ポケットがさらに深くなり、膿が出ることもあります。
歯がぐらついたり、口臭がひどくなったりといった方もいらっしゃいます。
歯の周囲の骨が半分以上破壊されている状態で、ぐらつきがひどくなり食事に支障をきたすようになります。
この段階になって、初めて来院するという方もいらっしゃいます。
歯周ポケットはかなり深くなっていて、なかに膿がたまり、歯ぐきがひどく腫れたり、強い痛みを感じたりする状態です。
そのままにしていると、歯が抜けてしまう恐れがあります。
歯ぐきが下がることを「歯肉退縮」とよびます。
歯肉退縮が起きると、次のような影響が出る恐れがあります。
歯ぐきが下がると、これまで歯ぐきに覆われていた部分が露出します。
歯が長くなったように見えて、不自然な印象となる可能性があります。
年齢より上に見られてしまうこともあるでしょう。
歯ぐきが下がって歯根部分が露出すると、歯と歯の間にすき間ができます。
そのすき間に、食べかすがはさまってしまうことがあります。
食事中に食べものがはさまっていないかが気になって、食事に集中できないという方もいらっしゃるでしょう。
また、はさまった食べかすは歯周病やむし歯、口臭の原因となる恐れがあります。
もともと歯ぐきの中に埋まっていた歯根部分は、歯ぐきより上にある歯冠と異なり、エナメル質で覆われていません。
象牙質がむき出しの状態ですので、むし歯菌が出す酸に溶けやすく、あっという間に神経に達する恐れがあります。
また、象牙質は神経に近いため、神経に刺激が伝わりやすく、熱いものや冷たいものを食べたり飲んだりしたときに知覚過敏の症状が起きる可能性が高くなります。
歯周病が進行すると、顎の骨が溶かされて痩せていきます。
それに伴い、骨の上にある歯ぐきも痩せて下がっていきます。
一度溶かされた骨や下がった歯ぐきは、自然と元に戻ることはありません。
歯周病治療では、歯周病の原因となる歯垢や歯石の除去を除去し、歯周病を悪化させている可能性がある生活習慣やほかの疾患を改善することで、症状の改善をめざします。
歯周病は、まずは歯周基本治療を行い、症状が改善しなければ歯周外科治療にうつるのが基本です。
歯周基本治療では、
を行います。
歯周基本治療では、歯ぐきの炎症を抑えて、歯周ポケットを元に戻すことをめざします。
歯周病が歯ぐきの奥まで進行し歯周組織の破壊がひどい場合には、歯周基本治療だけでは、症状が改善されないため、歯周外科治療が必要です。
歯周外科治療では、歯ぐきを切開し、歯根についた歯垢を取り除きます。
歯根に付着した汚れを取り除くことで、歯と歯ぐきが密着し、歯周ポケットが改善されます。
当院では、一般的な歯周外科治療に加えて、
といった歯周外科治療を行っています。
FGG(遊離歯肉移植術)とは、歯ぐきが足りない部分に、ほかの部位から切り取ってきた歯ぐきを移植する術式です。
CTG(結合組織移植術)は、歯ぐきの厚みとボリュームを増やすために、上顎の天井部分の口蓋(こうがい)から歯ぐきを採取して結合組織を移植する術式です。
歯ぐきが欠損しているケースや、歯根が露出している際に行います。
再生療法とは、失われた歯周組織を再生させる治療です。
歯周外科治療で、歯ぐきを開いたときに、組織が失われた部分に歯周組織の再生を導く薬剤を塗布して、歯周組織の再生を促します。
歯ぐきが下がったと感じるころには、歯周病はかなり進行している可能性があります。
歯を維持するためには、できるだけ早く歯科医院を受診して、適切な治療を受けることが必要です。
当院では、歯周基本治療はもちろんのこと、歯周外科治療にも対応しています。
治療後は、健康な状態を維持できるように予防やメンテナンスにも力を入れていますので、どのようなことでもご相談ください。