矯正治療をご検討中の方の中には、できるだけ抜歯はしたくないとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
矯正治療を行いたいけど、抜歯が原因で治療をためらっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
矯正治療というと、歯を抜いて歯並びを整えるというイメージをお持ちの方が多くいらっしゃいますが、必ずしも抜歯を行うわけではありません。
ただし、抜歯をした方が効率的に歯を動かせる場合は、抜歯をご提案することがあります。
それは、ワイヤー矯正であっても、マウスピース型矯正装置を使った矯正治療でも同じです。
ここでは、マウスピース型矯正装置システム「インビザライン」を使った矯正治療で、抜歯を行う場合と抜歯が不要なケースについて、わかりやすくお伝えします。
目次
マウスピース矯正「インビザライン」で抜歯が必要となるのは、抜歯をしなければ理想通りの歯並びにならない場合です。
抜歯が必要な状態であるのに、抜歯をせずに治療を進めると治療期間が長くなったり、思うような歯並びにならなかったりする恐れがあります。
具体的には、次のような歯並びのときに、抜歯をご提案します。
歯が一列に並ばずに、歯列が凸凹している歯並びを「叢生(そうせい)」とよびます。
日本人に多い不正咬合で、2011年(平成23年)の歯科疾患実態調査によると、12歳~20歳の男女の前歯の不正咬合の44.3%が「叢生」でした。
参考:厚生労働省eヘルスネット「不正咬合の種類と実態」より
叢生になる原因はさまざまですが、十分なスペースがないために、重なったりねじれたりした状態で歯が生えているというケースが大半です。
また、歯が大きい場合や、顎が小さい場合も叢生になりやすいといえます。
叢生の程度が軽度であれば、抜歯をすることなくマウスピース矯正「インビザライン」で歯列を整えることができます。
重度の場合は、抜歯をすることで、効率的に治療を進められる可能性があるのです。
また、親知らずが原因で奥歯の歯並びが凸凹している場合は、早めの抜歯をおすすめします。
前歯が突出している歯並びを、出っ歯とよびますが、正式な名称は「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」です。
歯をキレイに並べるためのスペースが不足していることが原因となっている場合は、スペース確保のために抜歯を行うことがあります。
その場合は抜歯によって、スペースを確保してからマウスピース矯正「インビザライン」治療を行うのが一般的です。
骨格的な原因で前歯が出ている場合は、インビザライン治療ではなくほかの治療をご提案するケースもあります。
歯をかみ合わせたときに、上の歯が少し前に出るのが正しいかみ合わせです。
下の歯のほうが前に出ている歯並びを、「反対咬合(はんたいこうごう)」とよびます。
受け口とよばれることも多く、日本人にはあまり多くないものの見た目のお悩みにつながりやすい歯並びです。
反対咬合を改善するためには、、上の歯を前に動かして下の歯を後ろに下げることが必要です。
軽度の反対咬合であれば、抜歯をすることなく改善できる可能性がありますが、歯並びの状態によっては、下の歯を抜歯して下の歯を引き込みます。
骨格的な原因で受け口になっている場合は、抜歯を行ったとしてもマウスピース矯正「インビザライン」では対応できないため、外科手術などをご提案することもあります。
マウスピース矯正「インビザライン」治療で歯を抜かずに治療を行える場合も多くあります。
次のようなケースでは、抜歯をすることなく治療を進めます。
IPRとは「Inter Proximal Reduction(インタープロキシマル リダクション)」の略で、スペースを作るために歯を削る処置です。
歯の隣接面を部分的に、やすりがけして少しずつ削ります。
健康な歯を削ると聞くと抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、IPRで削るのはわずか0.2〜0.5mm程度でエナメル質の表層に限られているので、歯の強度には影響ありません。
削ることで知覚過敏となったり、虫歯になったりするといった心配も不要です。
一つの歯で削る量はごくわずかですが、複数の歯を削ることで、歯を動かすだけのスペースを確保することが可能になります。
また、IPRには、歯を動かすスペースを作るだけでなく、歯の大きさや形を整えるといった審美的な目的もあり、重なりを改善することも可能です。
歯並びの状態によっては、IPRを行うタイミングは異なります。
いずれにしても、治療を始める前にしっかりとシミュレーションしてどれくらい削るかを事前にお話しします。
ご納得いただいた上で治療を始めますので、どのようなことでもご質問ください。
奥歯を後ろに下げることでスペースを確保できる場合は、抜歯を行う必要はありません。
特に、マウスピース矯正「インビザライン」は後方移動を得意としています。
インビザラインでは、まずは一番奥の歯を後方に移動させて、スペースを作ってから奥から2番目の歯、3番目の歯と順番に後方に移動させます。
歯を奥側に動かすことができれば、前方に歯を並べるスペースを確保することが可能となるため、抜歯は不要です。
ただし、もともと顎が小さい場合は奥歯を後ろに動かしても十分なスペースが確保できない場合もあります。
また、親知らずが邪魔している場合もあります。
親知らずは生え方によっては、歯並びに悪い影響を与えるだけでなく、治療後に歯並びが元に戻る「後戻り」の原因となる可能性があるのです。
ほかにも、虫歯や歯周病などのトラブルが起こりやすい歯とされています。
その場合は、親知らずの抜歯をおすすめすることがあります。
お子さんの矯正治療では、顎の成長を利用して顎の骨を横に広げやすいとされています。
大人の場合は、顎の骨の成長が終わっているため、顎の骨を横に広げることはできません。
けれども、歯が内側に倒れこんでいる場合は、引き起こすことで歯列を横に広げてスペースを確保できる可能性があります。
ただし、歯が外側に傾いている場合や、骨の厚みが十分にない場合は、歯列を横に広げることは難しいため、抜歯が必要となる可能性があります。
この状態で抜歯をせずに歯列を広げようとすると、歯ぐきが下がったり、治療後に歯並びが元に戻ったりする恐れがあるため注意が必要です。
歯並びや骨格によっては、「拡大装置」を装着して顎の骨を広げられる場合があり、拡大矯正で顎の骨を広げてから、マウスピース矯正「インビザライン」治療を行うケースもあります。
マウスピース矯正「インビザライン」治療でも抜歯が必要になるケースはあります。
歯並びの状態によっては、抜歯を行うことで治療期間が長くなるケースもあります。
抜歯が必要かどうかは、しっかりと検査を行った上で判断しますので、まずはお気軽にご相談ください。
マウスピース矯正「インビザライン」治療は、透明なマウスピース型矯正装置を使用して歯並びを整えます。
ワイヤーを使った矯正治療とくらべて、目立ちにくいだけでなく痛みも少ないことから、日常生活に支障をきたしにくい矯正方法として人気があります。
当院の院長は、症例数500以上という実績を積んだ「インビザライン プラチナドクター」です。
専門的な知識と経験をもとに、一人ひとりに合わせた治療をご提案します。
当院は西宮市にありますが、宝塚市からも多くの患者さんがお越しになっています。
医院前には専用の駐車場をご用意していますので、お車でお越しの方はご利用ください。
※矯正歯科は自由診療です。
※マウスピース型矯正歯科装置は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置です。承認薬品を対象とする医薬品副作用被害救済制度の対象外となることがあります。