たった1本でも歯を失うと、噛む力は減ってしまいます。
インプラント治療を検討中のほとんどの方が、「天然の歯のようにしっかりと噛みたい」とお考えでしょう。
実際に、インプラント治療に対する意識調査において、インプラント治療を選んだ理由として「よく噛めるようになると思って」と回答した方の割合は23%でした。
そして、61%の方が、治療後に「よく噛めるようになった」と回答しています。
ここでは、なぜインプラント治療によってしっかりと噛めるようになるかについてお話しします。
参考:J-STAGE 日本口腔インプラント学会第19巻4号「インプラント治療に対する患者の意識調査」p71-481 表1 手術後の経過 より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/19/4/19_478/_pdf/-char/en
目次
インプラント治療後は、天然の歯と同じような感覚で噛むことができる理由は、インプラントの構造にあります。
インプラント治療では、歯を失った部分の顎の骨に、歯根の代わりとなるインプラント体を埋入します。
歯根があるかないかは、噛む力に大きく関係するのです。
食べものを噛んだときにかかる垂直の力は、歯根を通して顎の骨に伝わり分散されます。
インプラントの場合は、歯根の代わりとなるインプラント体と顎の骨がしっかりと結合されているので、噛む力を受け止めて分散させることが可能です。
一方、入れ歯やブリッジのように歯根がない状態では、噛むときの力が歯ぐきや周りの歯にかかってしまいます。
歯ぐきは骨と比べてもやわらかく、しっかりと支えることが難しいため、硬いものを噛んだときにズレたり外れたりして噛みにくいと感じるのです。
人工物であるインプラント体と顎の骨が、本当に結合するのかと疑問に感じている方もいらっしゃるでしょう。
チタンでできているインプラント体と骨が直接結合して一体化することを「オッセオインテグレーション」といいます。
チタンは生体親和性が高いとされていて、体内に入っても異物として認識されにくい素材です。
埋め込まれたインプラント体の表面の細かな部分に、新しくできた骨が入り込むことで、顎の骨とインプラント体が結合します。
時間の経過とともに、組織的な骨結合が起こり、チタンと骨が光学顕微鏡のレベルで直接的に一体化した状態となるのです。
つまり、インプラント体はただ埋め込まれているだけでなく、骨と一体化しているため、噛んだときの力を受け止めて、分散させることが可能となり、安定して噛めるようになるのです。
入れ歯やブリッジでは、支えとなる歯に負担がかかります。
そのため、長く使用していると、支えとなる歯が脆くなり、噛む力に偏りが出る恐れがあります。
インプラントの場合は、顎の骨に固定されて自立するので周りの歯に負担をかけることはありません。
インプラント治療後は、しっかりと噛めるようになる理由をお話ししました。
噛む力を回復させることで、食事だけでなく生活面においても、さまざまなメリットが期待できます。
入れ歯では思うように噛めなかった食べものも、インプラント治療後には食べられるようになるケースが多くみられます。
うまく噛めないときは、噛み応えのある肉類や野菜を避けて、やわらかいものばかりを好みがちです。
噛まなくても飲み込めてしまうごはんや麺類など、炭水化物中心の食事になると、糖質の摂取量が増加して、肥満やメタボリック症候群を加速させる原因になることも。
肉類を食べる量が減ると、筋肉量が減少して、運動量が低下することになり全身の衰えにつながる可能性もあるのです。
いつまでも、楽しみながら栄養バランスよく食事ができるようになるためには、噛む力を維持することが大切です。
噛む力を回復させたいとお考えの方には、インプラント治療がおすすめです。
とはいっても、インプラント治療の場合は、手術後すぐにどのようなものでも食べられるわけではありません。
インプラント体と骨が結合するまでには、個人差があり、半年以上かかるのが一般的です。
まだ安定していない状態で、硬いものを食べてしまうとインプラント体がズレる恐れがあります。
当院では、手術後の過ごし方や食事に関するアドバイスも行いながら、しっかりと噛めるようになるようにサポートします。
噛む力は、お顔の見た目にも関係します。
なぜなら、噛むときには歯だけではなく顎の筋肉や、こめかみからえらの部分にある表情筋を使っているからです。
噛む力が弱かったり偏ったりしていると、筋肉が衰えて、皮膚のたるみやシワの原因となります。
インプラント治療後は、天然の歯と同じ程度の力で噛めるようになるので、噛む力に偏りが出ません。
均等に噛むことで、筋肉のバランスも整い、お顔の印象も健康的に変わる可能性があります。
また、インプラントの場合は噛む力がインプラント体を通して骨に伝わります。
骨は刺激を受けなくなると痩せていくため、入れ歯やブリッジを長期間使っていると少しずつ骨が痩せて、その周りにある筋肉や脂肪に緩みが生じて皮膚が余るようになるのです。
その結果、フェイスラインが崩れたり、しわやたるみが目立つようになったりと、老けた印象を与えてしまいます。
骨を維持しやすいといった点も、インプラント治療のメリットといえます。
噛むことで耳・顎・舌の下にある唾液腺が刺激されて、唾液の分泌量が増えます。
唾液には、
といった作用があり、虫歯・歯周病・口臭といったお口のトラブルを予防する効果が期待できます。
ほかにも、
といった働きもあり、お口だけでなく全身の健康にも必要不可欠です。
しっかりと咀嚼(そしゃく)してから飲み込むことで、消化器官の負担軽減につながります。
インプラント治療を行ってから、食べられるものだけでなく、食べる量が増えたという方もいらっしゃいます。
栄養バランスが改善されると、リハビリテーションやトレーニングを行う体力の回復も期待できるでしょう。
さらに、「しっかり噛む」ことによって、脳内の血流が増加し、脳細胞の働きが活発になります。
当院では、患者様のご要望に応じたインプラント治療を行っています。
まずは、インプラント治療についてのカウンセリングを受けていただいた上で、現在のお口の中の状態や抱えている問題点、このままにした場合の今後の見通しなどを、わかりやすくご説明いたします。
インプラント治療以外の選択肢もご提示して、インプラント治療を選択する場合は治療の流れや治療期間、治療費などについても具体的にお話しますので、どのようなことでもご質問ください。
インプラント治療を成功させるためには、専門的な知識が必要です。
当院では、信頼性の高いインプラントを採用し、歯科用CTなど精密な治療を行うための設備を導入しています。
顎の骨の量が少ないケースや、多くの歯を失ってしまったケースなど、さまざまな症例に対応可能です。
当院独自の保証制度もご用意していますので、まずはお気軽にご相談ください。