総入れ歯をお使いの方の中には、「思うように噛めない」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
歯を失っても「しっかりと噛みたい」「自然な見た目に仕上げたい」という方には、「オールオン4」というインプラント治療がおすすめです。
上顎、下顎のすべての歯を失った場合は、「総入れ歯」か「インプラント」で補います。
令和4年(2022年)の歯科疾患実態調査によると、総入れ歯をお使いの方の割合は65~69歳では3.2%であるのに対し、70~74歳では9.2%、75~79歳では17.8%と年齢とともに割合は高くなり、80歳以上では30%を超える方が総入れ歯を使用しています。
参考:厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査 結果の概要」p16より
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001112405.pdf
総入れ歯にはいくつかの種類があり、保険の範囲内で作ることも可能です。
とはいえ、保険診療の総入れ歯は構造上、
・噛みにくい
・話しにくい
・お手入れが面倒
といったお悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。
そのような方には、インプラント治療という選択肢があります。
通常のインプラント治療では、歯1本に対して1本のインプラントで人工歯を支えます。
失った歯の数だけインプラントを入れることもできますが、本数が多くなればなるほどお身体への負担、そして治療費の負担も大きくなるでしょう。
すべての歯を失った場合は、
・インプラントで入れ歯を固定する「インプラントオーバーデンチャー」
・4本のインプラントで連結した人工歯を支える「オールオン4」
という2種類の方法を選択できる可能性があります。
ここでは、「オールオン4」について詳しくお話しします。
私たちは、通常は上下それぞれに14本の歯を持っています。
オールオン4は、4本のインプラント体によって12本の人工歯を支える方法です。
総入れ歯とは異なりインプラントで固定されて、ご自身で着脱することはできません。
少ないインプラントで、すべての歯を支えられるのには理由があります。
オールオン4治療では、お口全体を診て、骨がしっかりと残っている部分を選んでインプラントを埋めます。
噛んだときにかかる力が4ヶ所に分散されるように、お一人お一人に合わせて設計されているため、しっかり噛むことができるのです。
また、インプラント治療を行った部分には、天然の歯にはある「歯根膜」が存在しません。
「歯根膜」には、骨と歯の間のクッションの役割だけでなく、血管も通っていて歯に血液を運ぶ働きもあります。
そのため、インプラントの周囲は血流が乏しい状態となりやすく、インプラントの本数が多くなりそれぞれの距離が近くなると、血流がより阻害されてインプラントの寿命にも影響を与える恐れがあります。
4本であれば、それぞれの距離が確保されているため血流も阻害されにくく、インプラントにとってもよい状態を維持しやすくなるのです。
通常のインプラント治療では、顎の骨に対して垂直にインプラントを埋め込みます。
けれどもこの方法では、4本ですべての歯を支えることは困難です。
そのため、「オールオン4」では、奥歯部分に埋めるインプラントは45度傾斜させてから埋めることで、通常よりも長いインプラントを埋めることが可能となります。
長いインプラントを入れることで、安定感が増し、強い力にも耐えることができます。
オールオン4には次のようなメリットがあります。
総入れ歯は歯ぐきに吸着させるため、硬いものをたべるとずれることがあり、噛みにくいと感じることもあるでしょう。
オールオン4はインプラントによって、人工歯が固定されているため、硬いものもしっかりと噛めます。
インプラント体をしっかりと安定させるためには、顎の骨が十分になければいけません。
歯を失ってから時間が経っていたり、歯周病が重症化したりすると、顎の骨の吸収が進んでいる恐れがあります。
通常のインプラント治療で、歯を失った部分の顎の骨が十分にない場合は、骨造成を行ってからインプラント手術を行います。
オールオン4では、骨のあるところを選んでインプラント体を埋めることが可能です。
そのため、部分的に骨の吸収が進んでいたとしても、骨造成を行うことなく治療を進めることができる可能性があります。
一般的なインプラント治療では、1本の歯に対して1本のインプラントを埋めます。
歯を失う数が多くなると、インプラントの本数が増えて身体への負担が大きくなります。
オールオン4では、4本とインプラントの本数を抑えることで身体への負担も軽減できるのです。
オールオン4では、手術当日に仮歯をつけることが可能です。
手術当日からやわらかいものであれば食べていただくことができます。
一般的なインプラント治療では、手術で埋めたインプラントが骨と結合されてから、仮歯を装着します。
歯がない期間が長くなると、見た目の問題はもちろんのこと、食事や会話にストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
オールオン4であれば、手術後から、今まで通りの生活を送っていただけます。
インプラントの本数が増えれば、治療費は増加します。
通常のインプラント治療では、2本のインプラントで3本の連結した人工歯を装着できますので、12本の歯を支えるためには、片顎で8本以上のインプラントが必要です。
オールオン4なら、4本で片顎全体を支えられるため、費用を大幅に抑えられます。
オールオン4では、人工歯を製作する際に、患者様のご要望に沿って歯の色を決定します。
片側だけをオールオン4にする場合は、残っている歯の色に合わせることで、自然な仕上がりになります。
オールオン4治療では、メリットだけでなく、注意していただきたい点もあります。
オールオン4治療では、片顎のすべての歯が連結した人工歯を装着します。
歯が数本残っている状態では、オールオン4治療はできません。
残っている歯の状態にもよりますが、抜いてでもオールオン4治療を行ったほうがメリットがあると判断した場合には、抜歯をご提案することがあります。
オールオン4治療は、インプラント治療を行っているすべての歯科医院で行えるとは限りません。
なぜなら、通常のインプラント治療よりも高度な技術が必要となるからです。
技術や経験はもちろんのこと、設備なども高水準なものを揃えている歯科医院で行うのがおすすめです。
オールオン4は、通常のインプラント治療と同様に、基本的に健康保険が適用されない自由診療の治療です。
総入れ歯には、保険が適用されるものもありますので、保険適用のものを選べば費用負担が抑えられます。
ただし、インプラントはメンテナンス次第で長くお使いいただくことが可能です。
長期的な視点で、メリットとデメリットを比較して、どちらを選ぶか一緒に考えましょう。
オールオン4で装着した人工歯は、虫歯になることはありません。
ただし、メンテナンスが適切に行われていなければ、周囲の歯ぐきに炎症が起こる「インプラント周囲炎」を発症する恐れがあります。
インプラント周囲炎が重症化すると、インプラントを支えている骨が溶かされてインプラントが脱落することになりかねません。
入れ歯のように外してお手入れする必要はありませんが、天然の歯と同じように、毎日丁寧に磨きましょう。
また、毎日のセルフケアに加えて、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることも大切です。
歯科医院では、インプラント周辺の状態やかみ合わせなどをチェックします。
磨き残しがあれば、専用のクリーニングで汚れを落とし、お一人お一人に合う磨き方をアドバイスするなど、快適にお使いいただけるようサポートします。
西宮市のケイ歯科クリニックでは、患者様お一人お一人の年齢やライフスタイルに合う治療をご提案しています。
毎日の食事や会話をお楽しみいただけるように、お口全体を考えた治療をご提案しますので、どのようなことでもご相談ください。
当院は、中津浜線沿いにあり、医院前に駐車場もご用意しています。
西宮市だけでなく宝塚市からも通いやすい歯医者ですので、お気軽にご来院ください。