インプラント治療後は、インプラント周囲炎にならないようにメンテナンスを継続させる必要があります。
インプラント周囲炎という病名は、あまり認知されていないかもしれませんね。
簡単にいうと、インプラントの周囲に起こる炎症で、歯周病とよく似ています。
インプラント周囲炎が重症化すると、インプラントが脱落する恐れがありますので、適切なメンテナンスでしっかりと予防することが大切です。
ここでは、インプラント周囲炎について詳しくお話しします。
目次
インプラント周囲炎は、インプラント治療を終えた方なら、誰にでもかかる可能性はあります。
インプラント周囲炎を発症する割合は、患者さま単位で10〜20%と考えられています。
(参考:J-STAGE-日本口腔インプラント学会誌36巻2023-2号「インプラント周囲組織疾患の診断」より)
インプラント周囲炎が発症する原因は、お口の中にある細菌です。
歯周病と同じように、細菌が出す毒素が歯ぐきを炎症させることで発生します。
インプラントには、天然の歯に存在する「歯根膜(しこんまく)」がないため、細菌感染しやすいとされているのです。
歯根膜とは、顎の骨と歯の間に存在する膜で、
・クッションのように噛んだときの力を吸収する
・噛んだときの硬さ・感触などの刺激を脳に伝える
・細菌の侵入を防ぐ
といった役割を担っています。
インプラントには歯根膜がないため、細菌感染しやすく、進行が早いのです。
また、痛みを感じにくく、病気の発見が遅れる傾向にある点にも注意が必要です。
次のような方は、特に、インプラント周囲炎になるリスクが高いといえるでしょう。
歯周病が原因で歯を失った方や、インプラント治療を行う前に歯周病を患っている方は、お口の中に歯周病菌を含む細菌が存在している可能性が高いため、インプラント周囲炎になるリスクも高くなります。
歯周病は再発しやすい病気です。
治療が終わったからと安心せずに、毎日のケアをしっかりと行ってプラークを溜めないようにしましょう。
タバコに含まれている成分の一つであるニコチンは、血管を収縮させます。
手術後の傷を回復させるために必要とされる栄養や酸素が十分に行き渡らないため、傷の治りが遅くなる恐れがあります。
また、術後の細菌感染のリスクも高くなるのです。
そのため、インプラント治療を行う際は喫煙に伴うリスクを説明し、手術前後には禁煙をお願いしています。
手術が終わった後も、インプラント周囲炎になるリスクを高めたり、症状を悪化させたりする可能性が高いため、引き続き禁煙をおすすめしています。
糖尿病になると細菌に対する抵抗力が低下するとされています。
また、お口の中が乾燥しやすくなり、歯周病菌などの細菌が活動しやすい環境となることから、歯周病が悪化しやすくなるのです。
糖尿病と歯周病が互いに悪い影響を与え合うように、インプラント周囲炎にも気を付ける必要があります。
歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに行われるケースが多くみられます。
体重の倍以上の強い力が、インプラントや歯槽骨にかかることで、骨が吸収されることになります。
また、ダメージを受けた歯ぐきは炎症を起こしやすくなり、インプラント周囲炎の原因となる可能性があるのです。
毎日の歯磨きの時間が短い方や回数が少ない方などは、お口の中が不衛生になりやすく、インプラント周囲炎になる可能性が高くなります。
定期的なメンテナンスに通っていない方も、インプラント周囲炎に対するリスクが高いといえます。
インプラント治療後20年以上経過した患者さまに対してのアンケート調査によると、18.3%の方が「定期検診に行っていない」と回答しました。
その理由として、「面倒」「通院が困難」と回答された方が半分を占めています。
参考:日口腔インプラント誌第31巻第2号「20年以上経過したインプラント患者のアンケート調査」より
インプラント周囲炎は、適切なメンテナンスを行っていれば予防することができます。
また、発症してしまっても、初期の段階で発見できれば、歯磨きなどのセルフケアを見直して患部を清潔に保つことで改善できる可能性があります。
発見が遅れて、重症化し、歯ぐきや歯槽骨が破壊されてしまうと、元の状態に戻すことは難しいでしょう。
そのため、インプラント周囲炎にならないようにしっかりと予防することが大切です。
予防の基本は「毎日の歯磨き」です。
歯を磨くときは、プラークが溜まりやすい部分を意識して、丁寧に磨きましょう。
プラークが溜まりやすいのは、歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間です。
歯と歯ぐきの境目は、歯ぐきに対して歯ブラシを45度にあてて、小刻みにブラッシングしてください。
歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロスを活用するのが有効です。
当院では、お一人お一人に合わせた磨き方や、デンタルケア製品の選び方をアドバイスしますので、毎日の歯磨きの参考にしてください。
インプラント周囲炎は、歯周病と同様に、初期の段階では自覚できる症状がほとんどありません。
さらに、インプラントは天然の歯よりも、細菌感染を起こしやすく、症状が急速に進みます。
そのため、定期的にプロの目で歯や歯ぐき、顎の骨の状態をチェックすることで、異常を早期に発見し、すぐに対応することが可能となるのです。
また、毎日頑張って歯を磨いていても、磨き残しは発生します。
歯科のクリーニングでは、歯磨きで落としきれない汚れを徹底的に除去することが可能です。
また、定期検診では、インプラントに破損やぐらつきがないかも確認します。
歯ぎしりや食いしばりをしている場合は、マウスピースを装着するといった治療をご提するなど、お一人お一人に合わせた予防ケアをご提案します。
タバコはインプラント周囲炎を引き起こすリスクを高めます。
インプラントを長く安定してお使いいただくためにも、できるだけ禁煙をおすすめします。
また、栄養不足や睡眠不足が続くと、免疫機能が低下し、インプラント周囲炎にかかるリスクが高まるため、規則正しい生活を心がけましょう。
インプラント治療は、天然の歯のような見た目や噛み心地が再現されることから、生活の質を向上させるといわれています。
ただし、快適な生活を維持するためには、適切なメンテナンスの継続が必要です。
当院では、治療後のメンテナンスにも力を入れています。
お一人お一人に合わせたメンテナンスをご提案し、快適なインプラント生活をサポートします。
インプラントは、メンテナンス次第では15年以上お使いいただくことが可能です。
参考:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のための Q&Aより
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